【体験談】ウエストケロウナで発生した史上最悪レベルの山火事→避難になりました

カナダ生活 | ケロウナ

Tomo

2023年9月14日

山
Tomo

みなさん、お久しぶりです!最近バタバタしており、更新できておりませんでした。
バタバタしていた理由の一つについて今回はお話しします。

カナダのブリティッシュコロンビア州、ウエストケロウナで大規模な山火事が発生しました。
ケロウナの情報を多く発信していますが、実は私の住まいはウエストケロウナです。
この山火事は、カナダ西部と北西部で続いている火災の一部であり、町や住宅に深刻な被害をもたらしています。
山火事の発生からかなり経ちましたが、未だ燃えている箇所もあると聞きます。

この山火事の影響で、多くの住民が避難を余儀なくされました。
ついこの間、イエローナイフで約2万人の住民が避難したというニュースが記憶に新しいです。
今回のウエストケロウナでの火災では、住宅や建物が破壊され、火災による被害の規模は200軒ほどです。規模は135平方キロメートルと推定されています。

ケロウナでは20年前にも大規模な山火事が発生したそうです。今回の山火事は20年前の同じ頃に発生した山火事と同等レベルで規模が大きいです。2003年の火災では250平方キロメートルの森林と240軒近くの住宅が焼失しました。

カナダは今年、史上最悪の山火事シーズンを迎えており、少なくとも1000件以上の火災が発生しています。専門家は、気候変動による暑くて乾燥した天候の影響により、山火事が拡大している可能性があると指摘しています。

政府は避難命令や被災地域への渡航禁止令などを行い、的確な対応を行いました。
幸いなことに、避難命令や迅速な対応により、現時点では死者の報告はありません。ただし、ケガ人や行方不明者については公表されていません。

被災地域の回復には時間がかかるかもしれませんが、一日も早く元の美しいウエストケロウナが戻ることを願っています。

山火事の発生と進行

今回の山火事を時系列に沿って振り返ってみました。

2023年8月15日(火)
ウエストケロウナ市から北へ10キロメートルの地点のMcDougall Creek(マクドゥーガルクリーク)で発生しました。
強風の影響により、山火事は急速に拡大しました。
この時点では山火事はよくあるものと、誰もがこんなに大きい山火事に広がるとは思っていなかったと思います。

2023年8月16日(水)
ウエストケロウナの4,800の家が避難警報(アラート)を受けました。この時点では火災の面積は1平方キロメートル未満でした。煙でオカナガンの綺麗な湖は全く見えず、ケロウナダウンタウンも人が少ない状態でした。

2023年8月17日(木)
寒冷前線の影響で山火事がさらに急速に拡大し、消防作業が難航し、山火事は3平方キロメートルに及びました。避難警報(アラート)は5,700の家に拡大。実際に68の家に避難命令(オーダー)が発令されました。ウエストケロウナ市長は市内に緊急事態を宣言しました。私の家も避難警報(アラート)地域となりました。風向きによっては避難になるだろうと不安な夜を過ごしました。
さらに夕方にかけて、避難命令(オーダー)が763の家に拡大され、合計831となりました。

2023年8月18日(金)
夜のうちにウエストケロウナで発生していた火が飛び火して、ケロウナ地域にも拡大。ケロウナ市が緊急事態宣言を発令。この時点でいくつかの建物が火災により破壊されたことを確認されました。

ついに私の家も避難命令(オーダー)となりました。知り合いのお家に避難しましたが、そのお宅もさらに避難区域になってしまい、さらに別の知り合いのお家に避難させていただきました。

2023年8月19日(土)
避難区域に通ずる道は通行止めなどになっており、目に見えるほどの煙が立ち上っていました。飛び火による小さなボヤなども発生していたようです。

2023年8月20日(日)
ケロウナ側の火はかなり収まり、避難区域も解除され始めました。
ウエストケロウナでは引き続き消化活動が行われていました。

2023年8月22日(火)
ケロウナ市内で9/4まで発令されていた旅行禁止令が早めの解除となりました。

2023年8月24日(木)
ウエストケロウナの多くの地域で避難命令が解除され始め、多くの人々が自宅に戻ることができるようになりました。
一部の地域では消化活動、制御焼却を行い、住民の安全が確認できるまで避難区域となっていました。

2023年8月27日(日)
避難命令が解除され、家に戻ることができました。
一時は家のすぐ裏手まで火の手が迫っていましたが、雨が少し降ったこと、風がすこしおさまったこと、必死の消化活動により家は無事でした。私の住んでいる地域は最後の方に避難命令が解除されました。

避難準備 Evacuation

実際にどんな感じで避難したかについてお話しします。

避難警報(アラート)と避難命令(オーダー)の違いを抑えておきましょう

避難となる前は避難警報(Evacuation alert)がまず発令されていました。

避難警報(Evacuation alert)は、火災や他の災害などの緊急事態が発生した際に、一定の地域に住む人々に対して避難の準備を行うよう警告する公式の通知です。避難警報は、直接的な避難命令(Evacuation order)が発令される前に、事態の進行や気象条件の変化に注意を喚起するために発出されることがあります。

私は8/17の時点でお家が避難警報エリアになりました。この時点では避難になるかも?という感じで、避難がすぐにできるように準備というか、心構えをしていました。

実際に避難命令(オーダー)が発令されてからの流れ

実は私は次の日に結婚披露パーティーの予定でした。なので、朝からケロウナへ出かけておりました。準備をしていた午後くらいに義母から連絡があり、避難命令が出たから帰ってきて荷造りをしなさいとのことで、急いで帰宅しました。
実際に避難命令が出てから家を出るまではそこそこ時間があり、ケロウナから20分ほどかけて帰宅、そこから必要なものをまとめて、知り合いのお宅へ行きました。一度避難命令が出た地域はその後封鎖となり戻ることができません。なので、急いでスーツケースや袋などに適当に服や靴をつめました。車は家族で4台あるので、十分詰め込むことができました。
お世話になるお家は小さな湖を挟んで向こう側だったため、アラートにもなっておらず、大丈夫だろうとのことでしたが、そこも一時避難区域になってしまい、また別のお知り合いの家に移動となりました。
しかし、一晩開けたあと、結局この判断は間違いだったようで、そこは避難区域からすぐに外されました。なので、そのお家にまた戻ることになりました。

避難の際に持っていってよかったもの

まず初めに服や靴などは思い浮かびますよね。夏でしたが、寒い日もあったので長袖なども持っていってよかったです。

1回目に避難させていただいたお家は、ベッドルームもマットレスも余分にあったためよかったですが、2回目にお世話になったお家はとても広かったですが、ベッドなどがなかったので、キャンプ用のエアマットレスを念の為持っていったのが役に立ちました。毛布や枕なども持っていきました。
パスポートなどの重要書類を忘れそうになったのが危なかったです。パソコン・メモリーカードなどももちろん持っていきました。
バタバタしていて食料を買いに行く暇がなかった時があったので、簡単に食べれるものを持っていったのもよかったです。

もし、家が燃えてしまったら、保険に入っているので、保険が降りることになります。
夫は念の為、大きい家電など持っていけないものを写真に残していました。

消化活動の様子

すぐそこまで迫る火の手

避難となる前日の夜、家の裏庭から撮影しました。この時点だと風向きが逆方向だったので火の手は遠ざかっているように見えました。しかし、この後風向きが変わり避難となったわけです。

消防士さんが見回り

消防士さんが見回り

避難後、家の防犯カメラを確認すると消防士さんたちが見回りをしてくれていました。これは家の周りで燃え移りやすいものを家から少し離したりしているそうです。

ヘリコプターで近くの湖から水を運ぶ様子

ヘリコプターでの消化活動が行われていました。煙が立ち込めている間は、ヘリコプターでの消化活動ができないようですが、ある程度視界が見えるようになるとヘリコプターでの消化活動が行われていました。

近くの湖で、ヘリコプターが次々と水をくみにくる様子です。

夫の知人がこういった森林火災消化のヘリコプターの操縦士をしているそうです。大規模森林火災の時はオーストラリア、アメリカ、カナダなどと国境をまたぎ、消化活動されるそうです。

Controlled burns:計画的に燃やす

Controlled Burns(Back burningなどとも言う)は、森林や草地の健康を維持し、森林火災の危険を軽減するために計画的に火を使うプロセスです。これは、火災が一般の人々や周辺の地域に危険をもたらさないように、特定の条件下で行われます。
Controlled Burnsでは、死んだ草、倒れた木の枝、枯れた木、そして密集した下生えなど、燃えやすい材料を焼却します。

今回、私たちの家が最後まで避難解除にならなかったのはこのControlled Burnsをしていたからだそうです。
家の裏の山でControlled Burnsをして周辺の住宅へ火が回らないようにしてくれていたそうです。こうして、住民の安全が確認されてから、避難解除になりました。

避難中に煙がもくもくとまだ燃えていると思っていた箇所はこのControlled Burnsを行っているとことだったようです。

カナダ人の落ち着き具合

日本は災害大国で有名ですが、カナダでは災害といえば森林火災くらいなものです。
森林火災は毎年起きているので、カナダ人の落ち着き具合には驚きます。

家が燃えてしまうかもというときでも、口を揃えて「保険に入っているから大丈夫」だそうです。
そう言う問題じゃないと思うのですが。笑
流石に本当に家の裏手まで火が迫っていたときは、義父母はショックそうでした。

アラートのエリアになったら荷造りをしておいた方がよかった

カナダ人は割とアラートの地域になっていても心構えはしていましたが、荷造りなどの実際の準備はオーダーが出てからだったように思います。アラートの間はオーダーになるかどうかを随時チェックしているという感じです。
夜中に避難になるかも?と言っていましたが、避難命令になったら、隊員さんが家を訪問して教えてくれるよと言って、うちの家族はみんな普通に寝てました。私は1人眠れぬ夜を過ごしましたが。夜に避難になることはなかったです。

うちの家族もそうでしたが、ご近所さんもそんな感じでした。上記記載の通り、出かけていたので、急いで戻ってきたのですが、戻ってきた時はまだご近所さん、道端で話し込んだり、荷物詰めたりとかしている家がありました。

しかし、オーダー入ってから準備だとほんとに忙しなかったので、アラートの時点で荷造りしておけばよかったと心底思いました。

アラートになった時点で避難している人もいます。

結果:家は無事です

私たちは10日間避難しました。運良く家に泊めてくれる知人がおりましたので、政府で提供されている避難所やホテルなどを利用せずに済みました。気心の知れている知人のお家だったので、そこまで不便を強いられることもなかったのでよかったですが、知人には感謝です。

カナダのお家って基本的に大きいので、大勢入れるのがすごいと思いました。

ちなみに、こんな状態でしたが、ウエディングパーティーしました。家族親戚、誰も中止にしろと言わなかったのがすごいです。私は、中止にした方がいいのでは?と思ったのです。
でも、準備もしていたし、すでに遠方から来てくれてる人もいたので、人数少なくなりましたが、決行しました。
飛行機が飛んでなかったので、来れなかった夫の親戚や避難になって来れなかった知人もいました。あとパーティー途中でお友達が避難になったので、途中で帰ったり。

パーティーについてはまた別途記事にします。初めてのパーティー企画、本当に大変だったのですが、もう絶対やりたくないと思いました!笑

以上、私の山火事避難体験記でした。もっと緊迫感のある状況かと思いきや私たちは全然そんなことは実はなかったです。

実際に家が燃えてしまった方もたくさんおります。現在のところ、死亡者などの発表はされていませんが、被災者の方の心境を思うと本当に胸が痛みます。一日でも早く平穏な生活に戻れるようお祈りしております。

その後の経過や詳しい情報については政府のサイトへ→BC Wildfire Service

旅行に行ってまして、帰ってきた時の飛行機からまだ燃えている山が確認できました。

山